夏の訪れとともに、海開きや夏祭りを楽しみにしている多くの人々がいますね。
しかし、今年は中止や縮小のニュースが相次いで報じられており、海水浴場もその影響を受けています。
各地で行われる夏の風物詩「海開き」
今年は異変が?
海開きが中止?
何が起きているのか詳しく教えて
具体的な海水浴場で何が起きているのか、気になりますよね。
いくつかの海水浴場の状況を調べてみました。一緒に見ていきましょう。
具体的な海水浴場はどこ?
ここでは、片瀬東浜海水浴場、白兎海水浴場、大竹海岸鉾田海水浴場、猿島海水浴場、鵜の浜海水浴場の現状と背景を詳しくお伝えします。
片瀬東浜海水浴場
片瀬東浜海水浴場(神奈川県藤沢市)
片瀬東浜海水浴場は日本の海水浴場88選にも選ばれた、湘南を代表する大人気の海水浴場です。ところが今年は特に人出が少ない現象が見られています。
これは、暑さによる影響で観光客の出足が鈍ったためです。このままの状況が続くと、海岸で働く人々の売り上げが減少し、生活に直接的な影響が出てしまう可能性があります。
7月1日(月)、片瀬東浜海水浴場で開かれた「サザエさんビーチクリーン」
海離れが加速する子どもたちが、サザエさんと楽しみながらゴミ拾いをすることで、海に親しんでもらうことが目的。
2022年から実施して、今年3回目。
子供たちが、海で素敵な思い出を作れるといいね
こういった取り組みによって、海への人出が増えるといいわね
白兎海水浴場
白兎海水浴場(鳥取市)
白兎(はくと)海水浴場はこれまで新型コロナウイルスの影響で中止が続いていましたが、今年は人員が確保できたため開設が決定されました。
しかし、設置費用の高騰が問題となり、休憩所や海の家の設置を中止し、キッチンカーの営業を呼びかけているという状況です。
2024年7月5日 白兎海水浴場
5年ぶりの海開き
海開きは、例年は近くの小学校の児童を招いて、賑やかに行われていましたが、今年は熱中症を考慮して児童の招待を廃止。
猛暑も要因となって一般の海水浴客の姿もなく、少し寂しい幕開けとなりました。
大竹海岸 鉾田海水浴場
大竹海岸鉾田海水浴場(茨城県鉾田市)
大竹海岸鉾田(ほこた)海水浴場は、昨年2023年は県内の公設海水浴場では 5番目に多い およそ25,000人が訪れました。
しかし、今年は波による砂浜の侵食が激しく、岩が突き出たり、場所によっては 深さ1メートルほどの穴が開いたりしていて、安全確保が難しくなり、今シーズンのオープンを断念せざるを得ませんでした。
護岸工事や都市開発が砂の自然な移動を妨げ、砂浜が急速に削られている状況です。
大竹海岸鉾田海水浴場
砂浜侵食の進行により、今年の海開きが中止に。
侵食が進み砂浜に岩が突き出していることがわかります。
侵食とは、自然現象や人間活動によって地形が削られたり変形したりすることを指します。特に海岸侵食は、波や潮流、風によって砂や土が削られて流されてしまう現象です。
大竹海岸鉾田海水浴場の場合、護岸工事や都市開発が砂の自然な移動を妨げた結果、砂浜が急速に削られているという現象が起こっています。
猿島海水浴場
猿島海水浴場(神奈川県横須賀市)
横須賀市にある無人島の猿島海水浴場は、新型コロナウイルスの感染拡大による閉鎖を経て、去年から再開の検討が続いておりました。
海水浴場の開設が中止となった猿島。
ところが砂浜の浸食がさらに進み、急に深くなる場所や段差が確認されました。
その結果、今年も猿島海水浴場は開設しないことが決定されました。
昭和32年にオープンした猿島海水浴場は、横須賀市の中心部から船で10分ほどで行けることもあり、かつては、多くの海水浴客でにぎわっていました。
以前は猿島海水浴場はこんなににぎやかだったんだね
バーベキューなどのレジャーはできるそうよ!
食材の持ち込みだけで手軽にバーべキューを楽しむことができます。
注意:島外から炭やコンロなどの機材の持ち込みは禁止されいるため、猿島にあるレンタルショップではバーベキューセットをレンタルする必要があります。
鵜の浜海水浴場
鵜の浜海水浴場(新潟県上越市)
鵜の浜(うのはま)海水浴場でも海岸浸食が深刻化しています。
海水浴場として利用している砂浜は幅約120メートルで、このうち約70メートルが強風や高波の影響で削られました。砂浜の6割が削られたことになります。
砂浜が広がっていた頃の鵜の浜海水浴場(2020年8月)
海岸浸食が進んだ鵜の浜海水浴場と撤去直前の人魚像。(2023年10月)
この侵食被害はここ数年進行し、2023年末には波打ち際が迫り、海岸のシンボルである「人魚像」が撤去されました。
撤去された人魚像跡地。
かつてはこの場所に人魚像があり海水浴客で賑わっていました。
海岸の浸食問題はかなり深刻だね
そうね。ところが上越市は今年、新たな取り組みスタートさせたそうよ
再利用砂で新たな砂浜整備
上越市大潟区鵜の浜海水浴場では、海開きを7月13日に控え、およそ4,000トンの砂を運び入れて敷きならす工事が行われました。
この砂は、県内で橋の架け替え工事から出る残土を再利用したものです。
鵜の浜海水浴場で行われた、浸食が進んだ浜に砂を入れる工事。
今年の海水浴場は、砂浜の位置を直江津側に約20メートルずらし、人魚像の台座付近から直江津側に約100メートルに設置する予定です。
鵜の浜海水浴場はこの重機を使った砂をならす工事完了後は、他の市内の海水浴場と同様に、7月13日から営業を開始します。
上越市長はこの取り組みについて、このように語っています。
「鵜の浜には温泉街もあり、県外から多くの人々が訪れます。規模は7割ほどに縮小されてしまいますが海水浴を皆さんに楽しんでいただけるよう海岸を整備したので、ぜひ来てほしい」
橋の架け替え工事で出た土を再利用するアイディアが素晴らしいね
そうね。でも、また数カ月経つとこの砂も再び侵食されてしまうのか、と思うと複雑だわ
海開き中止への人々の反応は?
海開き中止のニュースに対して、人々はさまざまな反応を示しています。以下にいくつかの意見を紹介します。
- 雪が積もりすぎてスキー場が開けないのと少し似てるかな
- この暑さに海水浴はがっつり日焼け止め塗らないと日焼け通り越して火傷するし、祭りとかは秋以降にずらせば良いのでは
- 砂浜の侵食で本来土砂が流れ着くのをダムや堰堤が遮断してるのが一番大きい
- 国として砂の枯渇を見据えた法制度の整備などが必要だと思う
- わざわざ暑い夏にまつりするっていう伝統を変える時なのかもしれない
- これほどまでに暑さが厳しいと、日を遮る物が何もない場所に行きたいとは思いません
海開き中止は、個人個人の異なった視点でそれぞれの意見があるようですね。
相手が自然だから、対策は簡単ではないよね
海で泳げなくなるのは寂しいし、地元の人からすると死活問題よね・・・
海岸侵食対策とまとめ
このように海岸の侵食問題は深刻な課題ですが、対策を講じることで状況を改善できる可能性はあります。以下に具体的な対策をいくつか紹介します。
- 養浜工(ようはまこう): 流出した砂を人工的に復元する方法です。砂浜を補充することで海岸浸食を防ぎます。
- 突堤工(とっていこう): 海岸線に直角方向に砂止堤を設置することで、波や流れの作用を抑制します。
- 離岸堤工(りがんていこう): 海岸線に平行に消波ブロックなどを設置する方法です。これにより波の力を弱め、浸食を防ぎます。
- 人工リーフ工(じんこうリーフこう): サンゴ礁の消波効果を参考にした方法で、海岸浸食を防ぐために人工的なリーフを設置します。
海岸の侵食問題は簡単に解決できるものではありませんが、適切な対策を講じることで改善が期待できます。
地域の魅力を守るために、私たち一人ひとりが意識を持って取り組むことが大切です。未来のために、美しい砂浜を次世代に残しましょう。
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