クレーン・ユウさんといえば、「極悪同盟」のNO.2としてダンプ松本と共にヒールとして活躍し、80年代の女子プロレス界に一時代を築いた人物ですね。
ダンプ松本が設立した「極悪同盟」のNO.2として大活躍していた頃。(出典:YouTube)
また、一方でNetflixの「極悪女王」で初めてクレーンユウさんを知った方も多いのではないでしょうか。
今回は、彼女の若い頃の画像を交えながら、プロ入り前や若かりし日のエピソードをお伝えします。
Netflix「極悪女王」のクレーンユウ(本庄ゆかり)の「うちがやる!」のシーンは何度見ても感動するよ!
本庄ゆかりレフリー「うちがやる!」。このセリフはクライマックスの始まりを知らせるゴングのようです。(画像:Netflix X)
実際には、本庄ゆかりがレフリーを務めることはなかったけど、事実とフィクションの違いなんてこの際、どうでもいいわ!
クレーンユウのプロフィール
クレーンユウさんは、1962年10月31日生まれの日本の女子プロレスラーで、本名は本庄ゆかりです。高校1年生の1980年に全日本女子プロレスに入門し、最初は「マスクド・ユウ」としてデビル雅美率いるデビル軍団に所属していました。
その後、1984年にダンプ松本が設立した「極悪同盟」に加入し、ヒールとして大活躍しました。
長与千種vs極悪同盟
左後:クレーンユウ
(出典:number)
極悪同盟から一方的に引退を発表された後は、本庄ゆかり名義でレフリーに転身。
現在もプロレス団体COMBOに所属し、年に4回リングに上がる現役レスラーとしてファンを楽しませています。
クレーンユウの若い頃のエピソード
デビル雅美率いる「デビル軍団」マスクド・ユウ時代(出典:spice)
水泳の才能と夢の消えたスイミングスクール
クレーン・ユウさん(本名:本庄ゆかり)は子どもの頃、水泳が得意で特に背泳ぎがピカイチでした!
育った東京都北区の水泳大会では、見事に背泳ぎで第3位を獲得。その勢いに乗って、親に「スイミングスクールに通いたい!」とお願いしました。
ところが、当時はスイミングスクールの数が少なく、授業料も高かったため、ユウさんの夢はなあなあにされてしまい、自然に消えてしまいました。
彼女はその頃を振り返り、「もしあのときスイミングスクールに通って本格的に水泳を習っていたら、オリンピックに出ていたかもしれない!水泳選手を引退した後は、今頃はオリンピック水泳の解説者として活躍していたかも」と冗談交じりに語っています。
プロレスラーへの道:ビューティーペアに憧れて
クレーン・ユウさんがプロレスラーになったきっかけは、小学校高学年の頃に遡ります。
彼女は当時、ビューティーペアに憧れ、「私もビューティーペアになりたい!」という夢を抱いていました。
日曜日の夜になると、テレビで女子プロレスの試合を熱心に観戦していたそうです。
昭和55年組の新人オーディション。11人の合格者の中から最終的残った5人が、ダンプ松本・長与千種・ライオネル飛鳥・大森ゆかり、そしてクレーンユウ(出典:YouTube)
その情熱が高じて、彼女は昭和55年に行われた新人オーディションに挑戦することに決めました。このオーディションでは、多くの女子たちが参加し、最終的に11人が合格。
新人オーディションを受けた女子たち、全員背が高そうだね
オーディションの資格は、身長165cm以上が条件。それまでは160cmだったけどユウさんの時には、条件が厳しくなったのだそうよ。ちなみにクレーンユウさんは173cmとその中でも高身長ね!
こうして、クレーンユウさんは昭和55年(1980年)の春に高校1年で中退し、全日本女子プロレスに入門することになります。
全女の三禁を破って彼氏とは別れず?
クレーン・ユウさんは、全日本女子プロレス(全女)の厳しい「三禁」(酒・タバコ・男性)を守っていなかったことで知られています。
お酒が大好きで、寮の近くにあった24時間営業の「サンチェーン」でお酒を購入、タバコは高校生の頃から吸っていました。また、男性も常に周りにいて、彼氏が途絶えることはなかったようです。
若い頃のクレーンユウ。男性からモテモテだったというのも納得です。(出典:callejoshi.altervista)
Netflixの「極悪女王」エピソード1では、入門直後のシーンで、同期の入門生たちが松永副社長から「この中に付き合っている男がいる者はいるか?」と聞かれ、唯一クレーンユウ(本庄ゆかり)だけが手を挙げる場面がありますね。
これは、ダンプ松本(演:ゆりやんレトリィバア)が思わず二度見するほどのインパクト。
松永副社長は「そっか、じゃ悪いがすぐに別れろ」とあっさり命令し、続けて「男・酒・たばこ、この3つは厳禁だ」と入門したての本庄ゆかりに告げます。しかし、実際の本庄ゆかりさんはこの規則を見事なまでに守っていなかったのです。
もちろん、バレなければ良かったのかもしれませんが、この「三禁」は全女のプロレスラーにとって非常に重要なルールでした。
ところで、この「三禁」を破ったことが原因で解散に至ったとされるのが、ビューティーペアです。
ジャッキー佐藤さんが恋愛に気を取られるようになり、プロレスに対する集中力が低下。ペアを組んでいたマキ上田さんとの関係に亀裂が入り、1979年2月27日の試合でマキ上田さんが敗北したことが、ビューティーペア解散の引き金となっています。
ビューティーペア解散の発端を考えると、「三禁」を破るって、大変大きな意味があるんだね。
夜の新宿ディスコで夜遊び三昧?
クレーンユウさんは、寮生活を送っていた頃から新宿のディスコ「New York New York」に頻繁に足を運んでいました。
夜9時に寮を出て、朝まで帰らない生活。ディスコでは女性が1000円、男性が2000円で食べ飲み放題という嬉しいシステムがあったため、彼女は何度も通い詰めました。
朝までに寮に戻ってさえいれば夜の外出はバレずに済んだみたいよ
しかも、ディスコの黒服と仲良くなるほどの人懐っこさを持っていたクレーンユウさんは、なんと「無料券」をもらえるまでに。
お金がない寮生活の中で、タダで飲み食いできるというのは大きな特典です!
体を大きくするためにはたくさん食べる必要がありましたが、全女から支給されるのは米だけ。そんな逆境の中での無料券は、本当にありがたかったでしょう。
ディスコの黒服と仲良くなるって誰でもできることではないよね
きっと、それは人から好かれるクレーンユウさんの優しくて明るい性格のためね
クレーンユウさんの最高体重は何と100㎏。これはディスコでの食べ放題のおかげだったのかも!
夜9時を過ぎると寮のある目黒から新宿まで電車に乗り、終電までお腹いっぱい食べて飲んで、そして終電で寮に帰るという生活を送っていたといいます。
クレーンユウさんにとって、ディスコは踊るためではなく、体を大きくするため、そしてお腹を満たすための場所だったんですね。
クレーンユウの本当の姿:優しさあふれるヒール
「極悪同盟」のヒールレスラー、クレーンユウ。しかし、彼女が実は優しくていい人だと知ると、ヒールを演じることがどれほど大変だったのかが見えてきます。。
覆面レスラー「マスクド・ユウ」の誕生
入門から1年が過ぎた頃、ユウさんは「マスクを被れ」と命じられ、マスクド・ユウとしてデビル軍団に加入しました。彼女が覆面を被ることになった理由は、その優しい顔立ちが悪役には似合わなかったからです。ヒールレスラーに必要な冷酷さを出すことが難しかったのかもしれません。
マスクドユウ時代(出典:battle-news)
彼女自身、「争いごとが大嫌い」と語っており、極悪同盟への加入は正直なところ不本意だったに違いありません。
それでも、「私が我慢すればいい」と、クレーンユウさんは自身の優しさゆえに、その役割を受け入れていたのです。
本当はベビーフェイスに入りたかった
実は、クレーンユウさんは入門当時ヒール役よりもベビーフェイスを望んでいました。
また、1985年に引退を一方的に発表された際も、「引退後はベビーフェイスに転向するつもりだった」と言っています。「本当はクラッシュギャルズのようにみんなにちやほやされるはずだったのに…」と振り返るその言葉から、彼女の葛藤がうかがえます。
ヒールを演じながらも、心の中では「こんなはずじゃなかった」と感じていたのかもしれません。
ファンとの交流:優しさが滲み出るエピソード
悪役レスラーであるクレーンユウさんにも、ファンからの愛情が寄せられていました。
特に女の子のファンからは、手作りのお弁当が差し入れされることもありました。しかし、ヒールレスラーとしてファンの手作り弁当を食べるのは大きなリスクが伴い、やむを得ず捨てざるを得ませんでした。
1985年当時のクレーン・ユウさん(出典:https://sakura001.sakura.ne.jp/gokuaku/1985_02/198502_010.html)
ユウさんはその気持ちをありがたく受け止め、「おいしかったよ」とお弁当の入れ物を返していたそうです。
しかも、入れ物は敢えて洗わずにそ「このまま返すね」と笑いながらファンに伝えることで、さっき食べたばかり、という演出をしていたそうです。
これも彼女なりの感謝の気持ちと、ファンとの距離を縮めるための行動だったのでしょうね。
自分を犠牲にする優しさ
全日本女子プロレスのハードな日々の中で、クレーンユウさんは仲間との関係や仕事での不満をほとんど口にしなかったそうです。
いつも「自分が我慢すればいい」と思い、嫌なことがあっても表に出すことはありませんでした。そのため、同期から悔しさを感じることや対立することも少なかったようです。
今振り返ると、「あの時もっと会社に意見を言えばよかったかな」と思うこともあるそうですが、当時はその優しくていい人である性格が前面に出ていたため、争いを避けていたのでしょう。
クレーンユウの素顔に迫る試合:1984年12月 熊谷市民体育館
最後に、1984年12月に熊谷市民体育館で行われた「ダンプ松本&クレーンユウ vs ライオネス飛鳥&長与千種」を振り返り、クレーンユウさんの素顔に迫りたいと思います。
ダンプ松本&クレーンユウ vs クラッシュギャルズ
この試合では、極悪同盟のダンプ松本とクレーンユウが、クラッシュギャルズ(ライオネス飛鳥と長与千種)と激突。
極悪同盟の凶悪な戦術と、クラッシュギャルズの人気絶頂期における白熱の戦いが繰り広げられました。
1984年当時22歳の「極悪同盟」加入直後のクレーンユウ。(出典:YouTube)
これはダンプ松本ではないですよ、この人はこの試合のレフリー極悪・阿部四郎です。(出典:YouTube)
試合開始直線、子どもたちからの花束をリングの外に放り投げ、ヒールに徹するダンプ松本。隣にいるクレーンユウの心が痛んでいる気がしますね。(出典:YouTube)
試合開始直後からクレーンユウの長与千種への攻撃が始まります。武器のチェーンで長与を痛めつけます。(出典:YouTube)
クレーンユウさんの優しくていい人な性格を知ってしまったから、武器を使って反則することは、実はユウさんにとっては本当は嫌なことだったのかなと、つい想像しちゃうよ
この試合の珍しいところはクレーンユウの武器のチェーンをなんと長与千種が奪って、クレーンユウに反則技をかけるシーンです。その後、阿部四郎レフリーは長与千種に対して反則カウントを取ります。(出典:YouTube)
長与千種も反則することあったのね!
さらに、ライオネス飛鳥もダンプ松本の首にチェーンを巻き、反則技をかけ、ダンプを苦しめます。(出典:YouTube)
まさか、ライオネス飛鳥まで反則技を使うとは!
クラッシュギャルズが反則技を連発(出典:auctions)
そして、1本目の試合結果はクラッシュギャルズの反則負け。極悪同盟の勝利です。極悪同盟には反則カウントは一切取らないという、ヒールの味方・阿部四郎レフリーの噂は本当だったのですね(出典:YouTube)
続く2本目では、クレーンユウがライオネス飛鳥に対して抜群の強さを見せます。ここで注目なのは、再び画面右の阿部四郎レフリーです。長与千種に振り回され、服を破られてしまいます。(出典:YouTube)
「もう怒ったぞ!」とばかりに脱いだ服で長与千種に反撃する阿部四郎レフリー。その様子に、実況の志生野アナウンサーも「もうめちゃくちゃです」と驚きを隠せません。(出典:YouTube)
長与千種さんも一瞬ひるんだように見えるよね
まさかレフェリーが服を抜いで、自分に向かってくるとは思わないものね
最終3本目。クレーンユウが長与千種を持ち上げ試合の見せ場を作ります。そして、この時会場からは割れんばかりの「千種コール」。(出典:YouTube)
クレーンユウの見せ場なのに、観客は長与千種の応援ばかり・・・
優しい性格のクレーンユウさんからしたら、これは悲しいわよね
クレーンユウのきれいな回されっぷり。技をかけているライオネス飛鳥の見せ場を作ってあげているようにさえ見えます。さて、気になる阿部レフリー。長与千種に服を引き裂かれ上半身裸です。(出典:YouTube)
上半身裸の阿部四郎レフェリーが気になって試合に集中できない
(笑)
武器のアルミのバケツで長与千種の頭を攻撃するクレーンユウですが、叩き方が「コツン」と言う感じで手加減しているように見えます。(出典:YouTube)
ダンプ松本のライオネス飛鳥へのバケツ攻撃と比べてみましょう。バケツを後ろから振りかざすダンプ松本。この後、容赦ない反則技で、ライオネス飛鳥はフロアに崩れ落ちます。(出典:YouTube)
そして容赦なく思いっきり振りかざしたバケツをライオネス飛鳥の頭へ。(出典:YouTube)
バケツで思いっきり叩かれたライオネス飛鳥はフロアにしゃがみこんでしまうんだ
クレーンユウさんのバケツ攻撃とは大違いね
まとめ
今回は、クレーンユウさんの若い頃や、優しすぎるその性格について取り上げました。
クレーンユウさんは、水泳を習いたかったものの金銭的な理由でスイミングスクールに通えず、ビューティーペアに憧れてプロレスの世界に飛び込みました。不本意にも全女から悪役を命じられましたが、その役割を受け入れる姿勢は、彼女の人の好さや優しさと平和主義を象徴しています。デビュー初期には、お人好しの性格を隠すために覆面を被り、「マスクドユウ」としてリングに立ちました。
その後、ダンプ松本と極悪同盟に加入し、クレーンユウとしてヒール役を演じることになります。しかし、ファンからの手作りのお弁当を大切にし、実際には食べられない中でも「おいしかったよ」と感謝の言葉を添えて返す思いやりは、彼女の人柄を如実に表しています。
引退についても、彼女の意思とは関係なく会社が一方的に決定したにも関わらず、その状況を受け入れる器の大きさは、まさにクレーンユウさんの人柄を象徴しているようです。
ヒールもベビーフェイスも会社が決めたギミックじゃねぇかよ!
プライベートまで、お前頭おかしいんじゃねぇの?
このセリフは、ドラマ「極悪女王」でマスクド・ユウ(クレーンユウ)が発した名言として印象に残る場面ですよね。
ただ、クレーンユウさんの優しく、平和主義的な性格を知った今となっては、このような力強い言葉を彼女が実際に口にしたのかどうかは疑問が残ります。
クレーンユウさんの優しい人柄を考えると、ドラマの演出による脚色の可能性も考えられるよね
マスクド・ユウを演じたマリーマリーのえびちゃん(画像:dumpmatsumoto Instagram)
Netflix「極悪女王」と併せて、彼女の真の姿を知りながら作品を楽しんでいただければ幸いです。最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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