パラリンピック・バドミントンの梶原大暉(かじわら だいき)選手、22歳、ダイハツ工業所属。
2021年東京パラリンピックで、男子シングルスの金メダルを獲得、
男子ダブルスでは村山浩選手と共に銅メダルを獲得しました。
今回の2024年パリパラリンピックではシングルスとダブルスでのメダル獲得が注目されています。
シングルスとダブルスの両方でメダルを!と意気込む梶原大暉選手
(車いすバドミントン男子)
ここでは、パラリンピック・車いすバドミントン梶原大暉選手の強さの秘密とパリ2024パラリンピックへの挑戦について詳しく解説します。
世界ランキング1位 梶原大暉選手の圧倒的な強さ
梶原大暉選手は、2021年東の京パラリンピックから現在まで、男子シングルス(車いすクラス・WH2)でずっと勝ち続け、2024年7月現在、121連勝中です。
2020東京パラリンピック・バドミントン
男子シングルスで金メダルに輝いた梶原大暉選手
また、2024年2月に行われたパラバドミントンの世界選手権では、大会2連覇という快挙を果たしています。
世界ランキング1位に輝く梶原選手の、圧倒的な強さと技術が光る世界選手権での優勝でした。
梶原大暉選手の主な成績
ここで、梶原大暉選手のこれまでの成績をみてみましょう。
2019年 デンマーク国際大会(オーデンセ)
・男子シングルスで1位
・男子ダブルスで1位
2019年 ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会(東京)
・男子シングルスで3位
・男子ダブルスで3位
2021年 東京パラリンピック
・男子シングルスで1位
・男子ダブルスで3位
2022年 ヒューリック・ダイハツ BWF パラバドミントン世界選手権(東京)
・男子シングルスで1位
2024年 世界選手権(タイ)
・男子シングルスで1位(大会2連覇)
左:梶原大暉選手
右:村山浩選手
2021年東京大会では、男子ダブルスで銅メダルに。
2024年パリ大会でも、再び村山浩選手とペアを組んで、メダル獲得に挑戦する。
このように圧倒的強さを誇る梶原選手は、パリ2024パラリンピックでは、
シングルスでの金メダル2連覇はもちろん、ダブルスでも金メダルを狙っています。
梶原大暉選手の生い立ち
121連勝の記録を持ち、世界ランキング1位に輝く梶原選手ですが、その成功の裏には、困難を乗り越えたストーリーがありました。
福岡での幼少期と野球少年時代
梶原 大暉(かじわら だいき)
・パラバドミントン選手
・2001年11月13日生まれ(22歳)
・福岡県出身
梶原選手は小学3年生のときから筑紫丘ファイターズで野球を始め、中学では福岡ベースボールクラブで投手として活躍していました。
彼は当時から強肩で知られ、将来を嘱望される存在でした。
梶原選手は甲子園を目指していたんだよね
梶原選手は中学では軟式野球で全国大会に出場したのよね!
交通事故による転機
ところが、2015年の中学2年生の時、自転車で練習に向かっていた途中、梶原選手はトラックとの交通事故に遭ってしまいます。
一命はとりとめたものの、右足のひざから下を失うという大きな困難に直面しました。
左脚にも麻痺が残り、彼は一時期、スポーツから遠ざかることを余儀なくされたのでした。
交通事故は全国大会の試合前日だったんだ
全国大会の後、「背番号1」をもらうはずだったそうよ
失意の中で出会ったバドミントン
福岡市立福翔高等学校に進学した梶原選手は、どんなスポーツができるのか、とソーシャルワーカーに相談します。
そこで勧められた競技の一つがバドミントンでした。
「ピッチャーの投げる動きとシャトルを打つ動きは近い」
野球の投球動作に似ていると感じたことが、梶原選手に新たな挑戦のきっかけを与えたといいます。
高校生になってから、彼はこの新しいスポーツに打ち込むようになりました。
バドミントンが野球の投球動作に似ているってすごい発見だね
そうね、野球の経験が大きく役立っているのね
野球経験が生かされたバドミントン
前述のように、梶原選手がバドミントンを始めたのは高校生になってからです。
それから競技歴わずか4年ほどで東京パラリンピックで世界一に輝きました。
その背景には、野球経験が大きく影響していると言えます。
空間認知能力: 野球のボールやバドミントンのシャトルを正確に捉える力。
強肩: ピッチャー出身ゆえに鍛え抜かれた自慢の肩。
根性: 野球で培われたメンタルが、バドミントンでの厳しい練習でも活かされた。
なるほど、野球とバドミントンには共通点がこんなにあるんだね
梶原選手がプロ野球の始球式に!
梶原大暉選手は20歳の時に、なんとプロ野球の始球式に出ています。
2022年10月8日のソフトバンク対西武の試合で見事、始球式を務めた梶原大暉選手。
この始球式で、梶原選手は力強いノーバウンドの球を投げ、「野球少年だった自分にとって夢の舞台。始球式を務め機会をもらえた本当にうれしい」と気持ちを明かしました。
梶原選手、また野球のマウンドに立てて感動しただろうね
これまで支えてくれた人たちも、きっと喜んでくれたに違いないわ
梶原選手の成功への道・カギはチェアワーク
その後、日本体育大学・児童スポーツ教育学部に進学した梶原選手は大学卒業後、ダイハツ工業に就職します。
彼の強さの秘密は、野球の投手としての経験を活かした強肩によるショットの強さと、素早いチェアワークによる広い守備範囲にあります。
パラバドミントンで新たな目標を見つけた梶原選手の精神力の強さをとても尊敬するよ
本当ね。ところでチェアワークって何かしら?
東京パラリンピックでの金メダル獲得後も、梶原選手は連勝記録を更新し続けている梶原大暉選手。
彼のこの強さの秘密は、「チェアワーク」にあるといっても過言ではないでしょう。
次は、梶原選手が特に力を入れているチェアワークについてみていきましょう。
車いすバドミントンにおけるチェアワークとは?
梶原大暉選手が属している車いすバドミントンのWH1、WH2クラスでは、片手ではなくラケットを扱う方の手も使って車いすを操作しなければなりません。
選手たちが行っている、車いすとラケットを同時に操作するという非常に高度な動作。
この高度な動作がチェアワークです。
車いすバドミントンでは、シャトルを打ち返す際の車いすを後退させる動きや、車いすで動きながら上体を大きく反らすという動き、これら難易度の高いチェアワークが求められているのです。
また、パラバドミントンで使用される車いすは、前後の身体の動きに対応するため、後輪にも転倒防止のキャスターが取り付けられています。
選手の素早い動きに対応できるように、パラバドミントン用の車いすがアルミなど軽い素材で作られているのもこのためです。
梶原大暉選手の不断のトレーニングで培われたチェアワーク。
車いすを前に後ろに巧みに操作し、瞬時にシャトルを拾う梶原選手の驚くべき反射神経。
車いすバドミントンではラケットワークと同時に、俊敏かつ正確な車いすの操作(チェアワーク)が要求されるのです。
バドミントンをプレイするだけでも大変なのに、その動きに合わせて車いすも俊敏に操作しないといけないんだね
そうね、シャトルが動く方向へ合わせて、チェアワークも前後にに素早く行う必要があるわよね
持ち味のチェアワークを生かして粘り強くシャトルを拾う梶原大暉選手。
梶原選手は、見事なチェアワークによってバドミントンでの優れたパフォーマンスを実現してきたんだね
梶原選手の強さの秘密は、磨き続けてきたチェアワークにあるのね!
梶原大暉選手の成長と2024パリ・パラリンピックの戦術
梶原大暉選手は、自身の成長について「全体的に成長している実感がある。3年前からは見違えるほど強くなっている」と2024年7月のインタビューで自信に満ち溢れた表情で答えています。
次は、梶原選手の成長と2024年パリ・パラリンピックでの戦術についてみていきましょう。
全体的な成長の実感
3年前、東京オリンピックで、19歳で世界の頂点に立った梶原選手は、現在22歳でさらなる実力を加えた梶原選手。東京大会後、121連勝中という驚異的な実績がこの自信を裏付けています。
梶原選手は、自己の強みを、チェアワークとシャトルのコントロールにある、と自己分析。
「フィジカルや技術、ショットの引き出しなどが全体的に成長して、見違えるほど強くなっている」と自信を持って語っています。
「頭を使ったバドミントン」への意識
2021年の東京大会以降、梶原選手は「頭を使ったバドミントン」に意識を向けるようになりました。
試合の流れを考えながら自分のショットを選択することや、相手の状況、相手の動きを意識してプレーすることを重視し、その結果、「3年前とは見違えるほど変わっている」と成長を実感できるまでに成長したのです。
全ての面においてレベルアップしていると実感
不敗記録に対するプレッシャーについては、「あまり感じていない」とも言います。
心がけているのは、「目の前の選手に集中して自分の最高のパフォーマンスを出し切ろう」ということ。
「フィジカル、技術面、すべてレベルアップしているし、ショットの引き出しも東京パラリンピックのときに比べるとすごく増えた」という自信が強気を支えているようです。
梶原大暉選手のトレーニング
このように、自分でもはっきりと感じるまでに成長した梶原選手。
普段のトレーニングはどのようなことをしているのでしょうか。
梶原選手の腕のトレーニング様子がわかるのショート動画が公開されています。
この動画では、梶原選手がどのようにして腕の筋力を鍛えているのか、その一端を垣間見ることができます。特に、彼の力強いショットを支える腕のトレーニングは、彼のプレーの質を高めるために非常に重要な要素です。
国枝慎吾選手からの影響
梶原選手は、車いすテニスのレジェンドである国枝慎吾選手の影響を強く受けています。
車いすテニス界のレジェンド国枝慎吾選手
中学2年生の時に自転車事故で右足を失い、左脚にもまひが残ってしまった梶原大暉選手がパラアスリートとして踏み出した第2の人生。
アスリートとして梶原選手が追い求めてきたのは、勝ち続けることでパラスポーツの価値を高めてきた、車いすテニスの国枝慎吾選手の存在でした。
国枝慎吾選手とは
以下は国枝慎吾選手の略歴です。
- 国枝 慎吾(くにえだ しんご)
生年月日:1984年2月21日(2024年7月現在40歳) - 日本の元プロ車いすテニス選手で、ユニクロ所属。
- 男子世界歴代最多の計50回(シングルス28回、ダブルス22回)の優勝記録を持つ。
- パラリンピックで金メダルをシングルスで3個、ダブルスで1個獲得し、5大会連続でメダルを獲得。
- 「車いすテニス界のレジェンド」と称されており、2023年に世界ランキング1位のまま現役引退を表明。
- 2023年に日本国政府から国民栄誉賞を授与された。
国枝慎吾選手への憧れ
国枝慎吾選手は車いすテニスで数々の金メダルを獲得し、パラスポーツ界で絶大な影響力を持つレジェンドの一人です。
梶原選手は、勝ち続けることでパラスポーツの価値を高め、パラスポーツの第一人者として多くの人々に影響を与えてきた国枝選手に強い敬意を抱いています。
パラバドミントンの顔になりたい
「競技の普及のためにもプラスになるので頑張らないといけない」と語る梶原選手は、国枝選手のように「パラバドミントンの顔」となることを目標としています。
「勝たないと興味を持ってもらえない。(国枝さんは)パラスポーツの第一人者だと思うので、自分が次はそういう立場に、国枝さんを超えられるような存在になりたい」
この梶原大暉選手の言葉には、勝ち続けることで国枝選手のようにパラスポーツの価値を高めたい、という夢が込められているのでした。
梶原選手の将来の夢
梶原選手は「次は自分が普及する側の立場として、国枝さんを超えられるような存在になりたい」と、自らの目標を高く掲げています。
そこには国枝慎吾選手のような存在になることで、パラスポーツの魅力をより多くの人に伝えたいという想いが込められています。
梶原選手の夢は、単にバドミントン選手として自身が強くなることだけでなく、パラ競技の普及と発展をリードすることです。
「もっともっと人が増えてほしい。若い選手がいないと、新しく入りづらいと思うので、僕が続けて結果を残して、活動していくことが重要だと思う」と語る梶原選手。
2024パリ・パラリンピックでメダルを獲得することでその夢が実現するに違いありません。
車いすテニスの国枝慎吾さんが樹立した連勝は107だったよね
梶原選手は121連勝中よ!レジェンドの国枝さんの記録を抜いたわ!
いざ、2024パリ・パラリンピックへ
梶原選手は、「目標はシングルスとダブルスの2冠。最高のパフォーマンスで競技の魅力を伝えてパラバドミントンのファンを増やせるような大会にしたい」と力強く語っています。
男子ダブルス(WH1-WH2)では、東京パラリンピック同様、村山浩選手とペアを組み、東京大会の銅メダルを超え、金メダルを目指しています。
車いすバドミントンの見どころ
梶原大暉選手やペアを組む村山浩選手のメダルへの期待が高まる中、車いすバドミントンそのものも非常に魅力的な競技です。
車いすバドミントンの見どころをまとめました。
- 後退動作と上体の反らし
車いすを後退させる動きや、車いすで動きながら上体を大きく反らして行うクリアーは、選手たちの身体能力と技術の高さを示します。 - 粘り強いラリー
長時間続くラリーでは、選手たちの粘り強さと集中力が試されます。戦略的な駆け引きも見どころの一つです。 - チェアワークの技術
俊敏なチェアワークでコートを素早く移動する選手たちの動きは、観客を魅了します。特に、片手でラケットを操作しながら車いすを動かす高度な技術は必見です。 - ラケットワークの巧みさ:
シャトルのコントロールや、強力なショットの正確さも注目ポイントです。選手たちのラケットさばきは、卓越した技術を感じさせます。 - フィジカルとメンタルの強さ
車いすバドミントンでは、強靭なフィジカルと高い集中力、そして瞬時の判断力が求められます。選手たちの努力と鍛錬の成果がここに現れます。
これでパラリンピック・バドミントンをより楽しめるね!
競技の放送が待ち遠しいわ
車いすバドミントンのクラス分け
車いすバドミントンのクラス分けについてわかりやすい表がありましたので、ご紹介します。
パラサポWEBより
ダブルスでペアを組む村山浩選手はWH1です。
一方、梶原大暉選手のクラスは、WH2です。
WH2とWH1の違いは、腹筋がきくかどうかです。
- WH1: 腹筋がきかない選手がプレーします。
- WH2: 腹筋がきく選手がプレーします。
腹筋のきくWH2は前後に身体を動かし、広い範囲でラケットを動かすことができます。
まとめ
- 圧倒的な強さ:
梶原大暉選手は、チェアワークとラケットワークの技術で世界ランキング1位を維持しています。彼のプレーはフィジカルと戦略の融合であり、圧倒的な強さを誇ります。 - 転機と出会い
幼少期は野球少年だった梶原選手は、交通事故によって右足を失いました。しかし、その後パラバドミントンと出会い、新たな道を切り開きました。 - 成長の実感
梶原選手は技術面とフィジカル面で著しい成長を遂げており、「頭を使ったバドミントン」に取り組むことでさらに進化しています。 - 影響を受けた存在
車いすテニスの国枝慎吾選手のように、パラスポーツの顔となることを目指しています。彼の目標は、パラバドミントンの普及と競技の底上げです。 - 目標に向けて
2024パリ・パラリンピックでシングルスとダブルスの二冠達成を目指しており、その挑戦に向けて日々努力を続けています。
梶原選手は、パリ2024パラリンピックでシングルスとダブルスで果たして2冠なるのか。
パラバドミントンの普及する立場になりたい、という彼の夢の実現のためにも、実力を十分発揮して欲しいですね。
梶原大暉選手の成長と挑戦を応援しながら、車いすバドミントンの魅力を楽しみましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
もし、よろしかったらこちらXに投稿された動画を見てください。
短い動画の中に、梶原大暉選手の頑張りが凝縮されていて、胸が熱くなりました。
まだ2024パリ・パラリンピックでメダルをとる前なのに、すでに感動してしまいました。
梶原選手、心から応援しています!
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